ガールズバー事件顛末

 ガールズバーの女の子がいなくなった後のその後の顛末を記そう。だが、その前に私は以下のような妄想を繰り広げていたので、それも記そう。勝手にこのようなことを考えて涙を流してさめざめと泣いたりしたのだが、実際は違ったのである。

 

【あの子がいなくなってしまった後の私の勝手な推理】

 改めて考えると、9月末の時点で辞めるつもりだったのは確かという気がしてくる。そして、10月頭にシャンパンなど入れたりしたものだからそのときの同伴の話までを考慮してくれたんだ。「先に予定は立てておきたいじゃん」と言っていたのはそういうことだったのではないか。おれが最後の同伴をする9日に、辞める日を合わせてくれたんだ。やっぱりもともと辞める気だったんだ。土曜日の前日、急遽入ることになって「メンがヘラって写真を送った」とか言ってたのは、旅行の件もあったんだろうけど、常々私がいろんなあの子を見たいと言っていたことや、本人も「かわいいやつを着ていくね」と言っていたけれども、土曜に着なきゃいけない服を着ることになったからこういう服だったよと見せてくれていたのではないか。あと、出勤でいることを伝えていたことは辞める最後の機会として会えるのは数限りがあるぞというサインだったのかもしれない。

 そう考えるとどんどん深読みできて怖いのだが、土曜日に食事の席で出た、飲み屋とガールズバーを兼務していることを店側に相談したという話は、他の店に移るという話に読み替えることもできる。「オーナーも『うちだけで働いていてほしいけどそれは止めないよ』と言ってくれてる」というのは他の店に移るという話の変奏だったのではないか。そして、その後に阿佐ヶ谷・高円寺の友達とイタリアンを食べに行く、という話が出てきたのだが…。高円寺に住んで草加にも通えたらとも言っていたのは…。意図的に言っていたとは関係なく、ヒントなのではないか。あの子は阿佐ヶ谷高円寺のガールズバーで働き始めている。おそらく、かつての知り合いから引き合いがあり、そちらに移ったと考えるのが妥当だろう。この当てずっぽうの想像が正しければの話だが。

 そういう諸々の辞める予定(推測の域を出ない部分も多いが)を隠しつつ、私が最後まで楽しめるように配慮してくれていたと考えるのは間違いない。本当に優しい子だ。ほとんど想像の話ではあるが、その優しさに耐えきれなくて泣いた。

 というふうに思った一方で、あの子はふつうにミスして一気に辞めることになった可能性も全然ありえる。答え合わせ、どうしようか。オーナーに聞けばある程度は真相がわかる。少なくとも事前に辞める予定だったのかどうかだけでも明らかにはなるが…。それでどうなるということもないが…。もう会えないことには変わりないし。

 

 というように推理していたのだが、実際は驚くべきことに、私のネット上の女友達が毎回あまりに私がその子のことを話すものだから、夜食の女に入れ込みすぎているように見える私のために良かれと思ってやったのか、嫉妬心からの腹いせなのかわからないがTwitterのDMで嫌がらせをあの子にしていたため(!!)、あの子は怖くなり、また、私も犯人の一味と疑って連絡をよこさなかった、ということだったのだ。事実は小説よりも奇なり。つまり、あの子は特にもともと辞めるつもりは毛頭なかった(現にいまも辞めていない)。私がその気配りに感激し流した涙はまったく無駄だった。そう、あの子にはそんな頭はなく、当然のことながら自分の事しか主に考えておらず、特に嘘もついていなかったのである。

 

 その後、10月末から数度店に足を運び、11月頭にやっと会えたため誤解を解き、ネットの友達がやっていたということを詫び、その後2か月ほどまた通った。だが、もう今は通っていない。当初からわかり切っていたことだが、あまりにも不毛という事実に耐えきれなくなった。見下されている感というか、こちらの話を一顧だにしない姿勢しなかったのでほとほと嫌気がさしてしまった。つまりは分かり合えない人種だったということである。(12月初旬くらいに4人くらいで行った時、完全にほっとかれてV系バンドの話を連れのバカと話しているのをみてこれは私はついていけないな、と無気力になった。その後、もう店に行っておらず、もう行くことはないだろう。(ところで、指名客がおり、その連れがおり、指名客が無口で連れがおしゃべりな場合、キャストは話している方に話を合わせることになる。もう一人キャストがついているとしてもその子は指名客には話しかけづらいので、必然、無口な指名客が孤立するという構図が生まれてしまう。構造的な問題ではないか? どっちかが話していなかったら指名客でも会話を試みるようにするという方針にしとけよ)(ちなみに、この連れのバカは本当に今まで見たことのないくらい馬鹿で、そのガールズバーの精算を割り勘でしようと割り勘分を払うように言ったら、殴りかかってくるというクソである。意味が分からない。絶対に許さない。理不尽すぎるだろ。この話はいつかのときにまた書こう。))

 

 この話はこれでおしまい。